来客まであと1時間!プロが教える、短時間でできる掃除のコツ
来客時には、家をきれいにしてお招きしたいと思う一方で、掃除を面倒に感じる方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、掃除とお片付けのプロ・大津たまみさんに、来客前の1時間で掃除を効率よく終わらせる方法を伝授してもらいました。ポイントさえ押さえれば、誰でも短時間スッキリした空間をつくれますよ!
来客まであと1時間。そんなときプロはどのように効率よく部屋を整えるのでしょうか。大津さんがまず教えてくれたのは、掃除する場所と掃除のスケジュールの立て方についてです。
「掃除箇所として、まず外せないのが玄関です。それと、お客さまをお通しするリビング。そして、忘れてはならないのが、お客さまがご使用なさるかもしれないお手洗いと洗面所です。さらに、お客さまが入ることは少ないかもしれませんが、キッチンを整えておけると理想的です」
時間配分と掃除する順序については、次のようにすると効率がいいそうです。
1.玄関(10分)
2.リビング(15分)
3.お手洗い(10分)
4.洗面所(5分)
5.キッチン(20分)
また、どの場所にも共通するお掃除のポイントがあるといいます。
「お客さまをお迎えする際には、お客さまの目に入る場所を重点的に掃除することが大切です。お客さま目線で掃除を徹底する、ということですね。そのうえで、不要なモノを片付け、生活感を抑えてスッキリとさせるといいでしょう。そこに花や植物を飾り、アロマディフューザーで香りの演出をするとより素敵な空間になります」(大津さん)
さらに、こんなコツも。
「掃除道具は、ドライシートやウェットシートなど、出し入れが簡単なものを使うと時間を短縮できます。また、掃除の基本ですが、上から下に順に掃除すると効率的ですね」
では、実際にどのように掃除すればいいのでしょう。これらのコツやポイントを踏まえながら、各場所の掃除方法を詳しく見ていきましょう。
玄関はお客さまが初めて足を踏み入れる空間であり、第一印象を決める大切な場所。短時間で掃除を終わらせるためには、たたきの片付けから始めましょう。出ている靴はすべてしまうか、出しておくにしても1足だけにするようして、できるだけ整然とさせることがポイントです。
「シューズボックスに収まりきらなければ、袋などに入れて一時的に別の場所に移しておくのでも大丈夫ですよ」(大津さん)
たたきが片付いたら、次は掃除です。まずはドライシートを使ってホコリやゴミをサッと拭き取り、目立つ汚れがあれば、ウェットシートで簡単に取り除きます。
「ふだんの掃除では水拭きを行ったりしますが、短時間で掃除を済ませたいときには、この方法で十分です」(大津さん)
その後、玄関マットを整え、カーペットクリーナーなどでホコリやゴミを取り除きます。さらに、ドアノブとインターホンの汚れをアルコールやドライシート、ウェットシートなどでていねいに拭き取ります。
そうして掃除と整頓が終わったら、仕上げにアロマディフューザーなど香りのアイテムを設置しましょう。
「お客さまをお迎えする際の香りとして私がお手本にしているのが、ホテルのロビー香りです。実際にホテルで使用しているアロマオイルがネットで販売されていることもあるので、気になる方は探してみてください」
リビングは、散らかっているものをすべて片付け、収納します。テーブルの上にあるものもすべてしまい、できれば少しでもいいので花を飾ると部屋全体が華やかな印象になります。
「すてきな空間、例えばホテルのロビーなどでは、テーブルの上に何も置いていないことが多いですよね。きれいに整頓して生活感をなくし、お客さまをおもてなししましょう」
次に、ハンディモップやドライシートを使ってホコリを取り除きます。
「隅から隅まで掃除しようとすると時間がかかりすぎるので、テレビ台の上や観葉植物など、お客さまが座る位置から目につきやすい場所に絞って掃除すればOKです」
最後にクッションの形を整え、ソファーの上にきれに並べ直せば、リビングの掃除は完了です。
まずは便座と便器から。便座をトイレ用シート、もしくはトイレットペーパーとクリーナーを使い、しっかり拭きます。便器の中に目立つ汚れがある場合は、クリーナーとブラシで磨き、取り除きましょう。
次に、床を掃除します。便座同様、トイレ用シートかトイレットペーパーにクリーナーを使い、汚れを拭き取ります。
「床は、頻繁に足を置く場所が意外と黒ずんでいたりするので、見落とさずきれいにしてくださいね」
最後にタオルを交換すれば完了です。タオルは来客に備えて、お客さま専用のきれいなものを準備しておくとより好印象です。
「最近では、手を洗ってからお部屋に入るお客さまも多い」ということで、洗面所の掃除も手際よく行いましょう。
水滴が飛び散っていることが多い洗面台と鏡は、マイクロファイバークロスを使って水滴や汚れを拭き取ります。また、歯ブラシが棚の外に出ている場合は収納するか、しまえない場合は歯ブラシに付いた汚れをきれいにしておきましょう。
「歯ブラシの上部は、水がしたたり汚れていることが多いです。目につくと気になるので、整えるのがお勧めです」
そのほか、洗面所に出ているモノがあればできるだけしまい、スッキリしたところに小さな観葉植物を置けばバッチリです。
「洗面所は、日用品や洗濯物が置かれることが多く雑然としがちで、センスが問われる場所かなと思います。整った洗面所に植物がさりげなく置いてあるだけで、空間をすてきに演出できます。100均一ショップ で売っているような小さな植物でいいので、ぜひ飾ってみてください」
これだけ空間を整えても、キッチンが散らかっていては台無し。お客さまが使われる可能性は低い場所ですが、簡単に掃除しておきましょう。
「オープンキッチンだと特に目が行きやすいですし、コーヒーのカップをキッチンに下げてくださるお客さまもいらっしゃいます。そう考えると、掃除しておくのがベターですよね」
まずは、シンクに洗い物が残っていればすべて片付け、生ゴミは処理。それから、ふきんかマイクロファイバークロスを使い、カウンターをきれいに拭きます。これだけでも、キッチンの印象は大きく変わります。
これで1時間、お客さまをお迎えする準備が整いました。最後に、大津さんからのアドバイスです。
「完璧に掃除しようとすると時間が足りなくなってしまうので、お客さまを気持ちよく迎えるための、見た目重視の最低限の片付けと、清潔さを保つ清掃に絞るといいと思います。また、この掃除は単なる作業ではなく、おもてなしの心を表現するものでもあります。そういう気持ちを持ちながら取り組んでもらえると、よりすてきな空間がつくれると思います」
取材・文=杉原由花 イラスト=ヨシカワミノリ
教えてくれたのは
大津たまみ
1970年生まれ、愛知県出身。一般社団法人日本清掃収納協会会長。株式会社アクションパワー取締役会長。一般社団法人生前整理普及協会代表理事。清掃収納マイスター1級認定講師のほか、ジュニア片付け収納マイスター認定講師、風水師の資格も。「お掃除お片づけ」のプロとして30年以上のキャリアを持つ清掃業界のカリスマ的存在。年間200本以上の講演のほか、テレビ・雑誌・ラジオなどで片づけや掃除法を伝授する