花粉対策だけじゃない! 特集 部屋中ピカピカ“拭き掃除”のススメ
おそうじ・収納アドバイザーとして活躍する大津たまみさんに、すぐに実践したくなる掃除テクニックなど生活に役立つアイデアを教えてもらう「お掃除連載」。
今回は、本格シーズン到来の“花粉症”対策に効果的な、拭き掃除についてです。「花粉対策には、日常のお掃除のついでに、ほこりとともに部屋にたまっている花粉を取り除く“拭き掃除”がおすすめです!」と、大津さん。
花粉症対策だけでなく、隠れていた汚れや、こびりついた汚れも落とせて部屋全体がピカピカになるので気分爽快に!体も心も快適に、この春を過ごせる拭き掃除のこつを教えてもらいました。
ほこりの中でも粒子が大きく、床に落ちやすい花粉。春に悩まされる花粉症のアレルゲンともいわれます。これをお掃除で取り除くには、どういうやり方が正解なのでしょうか。
「通常のほこり掃除は、水で濡らさずに乾いた状態で、モップなどで取り除くことがおすすめですが、こと花粉となると水拭きがベストです。乾いたままで掃除をすると、花粉を含んだ細かいほこりが飛散してアレルゲンが部屋中に広がってしまうんです。そうならないように水拭きをしましょう」(大津さん)
水拭きをする際には、水を絞った雑巾か、使い捨てのウエットシートを使って、部屋の壁側から中央に向かって拭いていきましょう。普段は気が付かないようなほこりも拭き取ることが大事です。
例えば、壁と床の境目にある巾木(はばき)など部屋の中の出っ張った所には、ほこりがたまっていることが多いので、こちらも隅から部屋の中心に向かって水拭きしましょう」
花粉症ではない人にとっても拭き掃除のメリットは大いにあるそう。
拭き掃除をすると、コロコロや掃除機だけでは取れないこびりついた汚れが取れるので部屋がより清潔になるだけでなく、気付かない汚れにも気付ける、というメリットがあります。床を拭く動作は、掃除機をかける時よりも目線が低くなり、床の隅など、いつもは目が届かないところの汚れもこまめにきれいにできるので、汚れがたまる予防にもなります。
「家事代行の依頼でも、拭き掃除は人気が高いんです。拭き掃除をするのとしないのとでは、部屋のピカピカ度が大きく変わりますから。快適に過ごす環境をつくるためには、拭き掃除は欠かせませんね」(大津さん)
拭き掃除をする前には、加湿器で部屋の湿度をだいたい60度ほどに上げておくのがおすすめです。
かつては、お掃除の前には新聞紙を破って水に浸したものやお茶ガラを畳にまくということが行われていましたが…。
「これらは湿気を利用して汚れを取りやすくした“おばあちゃんの知恵袋”。でも、新聞紙やお茶柄は現代のフローリングの床ではこびりついてしまって、かえって掃除がやりにくいですよね。現代には加湿器という便利なものがあるので、それを利用しない手はありません」(大津さん)
湿度を上げてからの拭き掃除は、花粉症対策にも有効!湿気があると空気中に舞い散っていた花粉が下に降りてくるので、それをほこりと一緒にぬれ雑巾や使い捨てのウエットシートで取り除きましょう。部屋がきれいになる上に、花粉症対策もばっちりと一石二鳥です。
部屋の中で水拭きをする場所としては、まず、リビングやキッチン、廊下など床は必ず行いましょう。それから、意外な盲点としては、手の脂が付着しているドアノブです。特にキッチンやトイレのドアノブは汚れやすい箇所なので、まめに水拭きしましょう。
ほこりが積もったまま見過ごされやすい棚の上や、カーテンレールも水拭きポイントです。高い所のほこりが舞い散ることで、せっかくきれいにした部屋に再びほこりがたまってしまいます。それを防ぐためにも高い所の水拭きはこまめにしましょう。高いところから低い所に順に拭いていきましょう。花粉症対策としても有効です。
また、エアコンの中も拭き掃除が可能です。フィルターだけでなく、エアコンの内部にもカビやほこり、汚れが付着しているんです。もちろん花粉も。エアコン内部の汚れは、菜箸にボロ布を巻き付けて輪ゴムで止めた道具で拭いて落としましょう。ボロ布がなければ厚手のウエットシートでもOK。アルコールタイプを使うと除菌もできます。
このほかに、クイックルワイパーの水拭きタイプや、水拭きしてくれるお掃除ロボットなども登場するなど、お掃除道具も日々進化しています。これらの便利道具を使って、楽してお部屋をキレイにしましょう。花粉対策に最強なだけでなく、汚れをためずに、いつでも部屋をピカピカにしてくれる拭き掃除。毎日の習慣にして、部屋をいつでも快適な空間にしましょう。
取材・文=本嶋るりこ イラスト=ヨシカワミノリ
大津たまみ
1970年生まれ、愛知県出身。一般社団法人日本清掃収納協会会長。株式会社アクションパワー取締役会長。一般社団法人生前整理普及協会代表理事。清掃収納マイスター1級認定講師。「お掃除お片づけ」のプロとして30年以上のキャリアをもつ清掃業界のカリスマ的存在。年間200本以上の講演のほか、テレビ・雑誌・ラジオなどで片づけや掃除法を伝授する