3つの要素を鍛えて説明上手に!ビジネスでも日常でも、一目置かれる話し方のコツ
実は、世の中のほとんどの人が「説明下手」である。何かを説明する機会は、仕事だけでなく日常生活でも多くあるだろう。それなのに、学校で説明の仕方を学ぶことはない。社会人になると急に説明力を求められ、学んだ記憶がないため苦手意識を持つ人は多いそうだ。
コツを知り、意識してトレーニングをすれば、必ず説明する力は向上する、と教えてくれるのが『頭のよさとは「説明力」だ』(齋藤孝/詩想社)である。説明力とは「時間感覚」「要約力」「例示力」の3つの要素で構成されているそうだ。以下にその具体例と鍛え方を紹介しよう。
『頭のよさとは「説明力」だ』(齋藤孝/詩想社)
1分間で説明してください――すると、どんなに優秀な人でも、「ええと……」と何度も繰り返してしまうことがある。1分という限られた時間、一言でも、一文字でも意味のある言葉を相手に伝えたい。それなのに意味のない「ええと……」を繰り返してしまうのは、説明上手とは言えないだろう。
なぜ、こんなことが起こってしまうのか。それは、自分がどれだけ話せるかという感覚を掴めていないからだそう。常に説明と時間をセットで意識する「時間感覚」を持つこと、これが説明の基本の「キ」ということだ。
この時間感覚を掴むためには、意識して時間を測ると良いとのこと。明治大学教授でもある著者・齊藤孝氏のクラスでは、何でも15秒で説明するトレーニングを行うそう。15秒を体に覚えさせることができれば、それを4つ組み合わせて1分というイメージができるようになる。日常会話でも「近況を15秒で伝えてみよう」と意識して話すことで、すぐに身に付けることが可能だという。
要約力とは、要点を掴み、体系立てて理解する力。たとえば、機械トラブルで業者に修理を頼む。修理業者が説明下手で故障についての説明がまとまっていなかったとしても、そこから要点を掴み、情報を整理できる力が要約力ということだ。
これを上司に報告する際も、「機械が直る」という要点から伝えられるとスムーズだ。その後、故障の原因や必要な処置、修理にかかる時間、費用などを説明していけば分かりやすい。
要約力を鍛えるには、新書を読むのがオススメだ。新書は、著者の研究を一般の人に理解してもらうために書かれている。そのため、内容が整理されていて、目次を見るだけで内容が分かるようになっていることが多い。目次を見て、その本の要点は何かを考える。これが要約力を鍛える訓練になるのだ。
例示力とは、漠然とした言葉を具体的な言葉に置き換える力である。たとえば「声を出さないコミュニケーション」について説明するとき、言葉を尽くして説明するよりも、話し相手がサッカー好きであれば「試合中にアイコンタクトで情報交換する」という例を挙げる。また、実際に目を合わせてアイコンタクトをしてみる、というのも一つ。相手にとって理解しやすい的確な例が出せる力が例示力だ。
例示力を鍛えるには、具体例を探す意識を持つとよい。「最近どう?」など漠然とした質問は、日常生活ではよくあること。このとき、相手が興味を持つようなエピソードを話そうと意識して、印象深い例を探しておくことが訓練になる。生活の中で「具体例」を意識することが、例示力を鍛えることにつながるのである。
以上が、説明力を構成する3つの力だ。まず、どんな力が必要なのかを知ること。そして、それを意識してトレーニングすること。そうすれば説明力は必ず向上する、と齋藤氏は述べている。
本書では、この3つの基本を身に付けた人への応用テクニックも15個紹介されている。「すべてを説明しない」「心に残る資料の作り方」など、すぐに実践できるものばかりだ。何気ない説明にこそ、その人の知性がにじみ出る。周りから一目置かれるような説明力を身に付けたいものだ。
文=冴島友貴
記事提供=ダ・ヴィンチWeb
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