【週末エンタメ】歴史に残る傑作『アバター』がもたらした映像の革新性!13年ぶりとなる続編の見どころは?
世界興行収入歴代1位にさんぜんと輝く、ジェームズ・キャメロン監督作『アバター』(2009年)。革命的な映像美で日本でも旋風を巻き起こした壮大なSFの続編となる『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が、2022年12月16日(金)から公開されている。なぜ映画史に残る重要作となったのか?ここでは改めて『アバター』のスゴさを振り返っていく。
近未来が舞台のSF叙事詩!設定を押さえながら『アバター』をおさらい
前作では惑星パンドラを舞台に繰り広げられるナヴィと人類の戦いが描かれた
(C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
22世紀に時代を設定し、環境破壊により荒廃した地球から遥か彼方にある惑星パンドラを舞台に物語が繰り広げられる『アバター』。惑星パンドラの地中には地球のエネルギー問題の鍵を握る鉱石が眠っており、採掘のため地球のRDA社は先住民ナヴィと交渉するも、事態は難航していた。
そんな中、戦争で下半身不随となった元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)は、急死した双子の兄で科学者のトミーの代わりに、アバター計画に参加するため惑星パンドラへと向かう。
アバター計画とは、人類とナヴィのDNAを掛け合わせて造った人造生命体(アバター)と人間を神経でつなぎ、遠隔操作する技術。ナヴィと接触するために開発されたもので、もともとは兄トミーが操作員だったが彼の急死を受けて、DNAが一致するジェイクに白羽の矢が立ったのだ。
グレイス博士(シガニー・ウィーバー)の下で任務に就いたジェイクだったが、ナヴィの一掃を企てる傭い兵の隊長マイルズ(スティーヴン・ラング)から、下半身を治すための高額な治療費をエサに、ナヴィの秘密を探るスパイになるよう命じられる。
前作でジェイクはナヴィの暮らしにほれ込み、最終的にはナヴィとして生きることを選ぶ
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そんな複雑な状況に置かれる中、アバターに入りナヴィの土地へと足を踏み入れたジェイクは、トラブルに見舞われ仲間たちとはぐれてしまうが、偶然出会ったナヴィのネイティリ(ゾーイ・サルダナ)に命を助けられ、彼女の部族でナヴィの生き方を学ぶことに。そして彼らと暮らしを共にするうちに徐々にナヴィの生活様式に魅せられていくが、マイルズらナヴィを軽視する者たちの暴走により、人類とナヴィは戦争へと突入してしまう…。
見たことのないような大自然の景色が次々と登場するという点も『アバター』の面白さ (C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
叙事詩的なスケールのストーリーが展開していくが、この壮大な物語を成立させているのが、当時の最新の技術を駆使した圧倒的な映像美だ。緑がうっそうと生茂る密林には発光する植物があり、空を見上げれば抜けるような青空の中に岩が浮かび、さらには色鮮やかなさまざまな動物が生息する。あらゆるディテールまで考え抜かれたパンドラの景色を、CGを駆使して徹底的に描き込むことで、ファンタジックな世界観に現実味を与えている。何よりその映像の美しさは圧巻で、ジェイクがナヴィの暮らしに魅せられてしまうのも分かる気がする。
パフォーマンスキャプチャーにより表情や目の動きも自然にキャラクターに落とし込まれている
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さらに精度の高いパフォーマンスキャプチャー技術により、キャストの体の動きだけでなく顔の筋肉の動き、表情といったエモーションの表現まで実現。ただ単にCGで描かれたキャラクターとは異なるリアリティーがもたらされている。
そして、この作品で忘れてはいけないのが3D技術。キャメロンが自ら開発したカメラで撮影した映像は、それまでの3D映像では表現できなかった奥行き感をもたらすことに成功しており、没入感がピカイチ。今となっては当たり前の3Dブームはこの作品から始まっているが、そのことも納得のクオリティーだ。
今では当たり前となった奥行きのある3Dも『アバター』から始まっている
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CGやVFX、3D技術を融合させることでパンドラをスクリーン上に創り上げている『アバター』。元々『タイタニック』(1997年)の直後から企画が動きだす予定だったが、キャメロンが技術が追い付くまで製作を待ったというこだわりを見せた映像は、第82回アカデミー賞で視覚効果賞、美術賞、撮影賞の3部門を受賞しており、今見てもまったく色あせない。
続編『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は水の表現に注目!
海辺の部族の元へと身を寄せたジェイクたち一家の姿が描かれる
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そんな映画界に革命をもたらしたと言っても過言ではない『アバター』の続編『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は、前作の約10年後が舞台。パンドラの一員となったジェイクは、ネイティリと家族を築き、穏やかに暮らしていたが、再び現れた人類によって平和な日々を脅かされてしまう。森を追われた一家は、海の部族の元へ身を寄せるが、海辺の楽園にも、侵略者の魔の手が迫っていた…。
パンドラの“海”が舞台となるが、海といえばキャメロン監督が並々ならぬ情熱を注いできたいわばおはこ。これまで海洋ドキュメンタリーをはじめ、『アビス』(1989年)、そして『タイタニック』と多くの作品で海を舞台として、並々ならぬこだわりと共に描いてきた。
日の光が差し込む水面の表現などCGとは思えないようなリアルさは圧巻
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本作はそれらの作品をはるかにしのぐ繊細な表現で海を描いており、水しぶきや揺れる水面、海の広がりを感じさせる深く透明度のある青色など、どこをとっても圧巻。CGによって作られたとは思えないほどのリアルさと純粋な美しさを感じることができる。
どのような海洋生物が登場するのかも注目のポイントだ
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実際に水中で泳いでいる様子をキャプチャするという撮影方法が採られている
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さらに水中でのパフォーマンス能力を高めるため、キャストたちはダイビングを学び、パンドラの世界に近い環境を味わうため、実際にハワイの海に潜り海洋生物に触れるという体験をしたそう。そんな経験がもたらすキャラクターたちのリアリティーのある水中での姿にも注目だ。
より繊細な映像によって前作以上の没入感を覚える仕上がりとなっている『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』。最新の技術と確かな人間の演技が融合した最高峰の映像は、スクリーンで見てこそ価値があると言えるだろう。
文=ケヴィン太郎
インフォメーション
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
2022年12月16日(金)より全国ロードショー
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