【商品レビュー】本当に頼れる「家具転倒防止グッズ」の性能をプロがレクチャー
いつ襲いかかってくるか分からない地震などの災害。自宅で被災した場合、特に怖いのは「家具や家電の転倒」です。家具が倒れてきて下敷きになってしまったり、落ちてきた家電が避難通路をふさいだり…時には命にもかかわります。防災準備の中で、家具・家電の転倒防止策は絶対に必要!
ここでは、専門性の高い商品を開発するプロのメーカー・株式会社リンテック21の池田 造さんが、災害時に“本当に頼れる”転倒防止のグッズをご紹介。「100円ショップにある安価なものとはどう違うの?」という疑問にも答えてもらいました。
転倒防止のグッズはビスで留めるタイプのものが多いので、賃貸の場合は「壁を復旧できないから使えない!」という場合も多いかもしれません。ここでは、壁や床に跡を残さず使える“本当に頼れる防災グッズ”5つを紹介!
■おすすめその1/おしゃれに防災! ゴムで固定して家具の転倒を防ぐ【ビヨンタ】
強力な粘着テープで固定するタイプの家具・家電の転倒防止グッズ。
「画期的なのは、よくあるL字型の金具のような遊びのないものではなく“ビヨ~ン”と伸びるゴムベルトで家具と壁面とを固定すること。強化ゴムなので伸びる=遊びがある分、揺れの衝撃に耐えやすく、固定した壁が傷つく被害も最小限に抑えられます」(池田さん)
接着テープは、市販でよくあるテープとは違う工業用の強力な接着テープを使用。耐荷重は1本で60kg、2本で180kgまで耐えられるので大きめな家具でも安心。
「粘着テープは縦横の力にはとても強いのですがひねる力には弱いので、ひねるように回転すると取り外しも簡単です。カラーバリエーションはライトグレーとモカの2色があり、インテリアに合わせて選べるので部屋にこだわりがある人にもおすすめです」(池田さん)
商品詳細
ビヨンタ
■おすすめその2/さまざまなテレビに対応! テレビ台に固定する【テレビストッパー】
テレビとテレビ台とを簡単に強力接着で固定できるグッズ。接着タイプなのでビスなどを使うタイプのものとは違ってテレビ台を傷つけずに装着可能!
「例えば、よく市販されている四角い形の両面の粘着テープや滑り止めのゲルマットなどは、そもそも面積がないので効果が少ない上、前面に倒れて液晶が割れる事故も起こり得ます。それを防ぐと共に、テレビの前にお子さまがいる場合を想定し、そこへ倒れないようにするのがこの商品。テレビの大きさやさまざまな脚の形状に対応して2種類販売されているので、自室のテレビに合わせたものを選ぶことができます」(池田さん)
取り付け方もとても簡単。
「接着パッドが付いたフックをテレビ台に留めて、マジックテープのベルトをテレビの足の部分に巻き付けるだけで装着は完了です。テレビを動かさずに正面から取り付けられるので、わざわざ背面に回り込む必要もなく、簡単に取り付けられます」(池田さん)
取り外し方は超簡単。フックにマイナスドライバーの先を差し込んで、ゆっくり回転させるだけで接着パッドがテレビ台から剝がれます。
地震には強く、人の手なら剝がすことがたやすいので、賃貸物件のような傷を残したくない場所の転倒防止にはぴったり!
商品詳細
安心TVストッパー
■おすすめその3/棚や冷蔵庫の上の家電が滑り落ちるのを防止する【リンクストッパー】
棚や卓上に置いた家電を強力な接着パッドで固定するストッパー。冷蔵庫の上の電子レンジ、調理台の上のトースターなど、地震の際に滑り落ちてしまいそうな家電をしっかり固定します。
「丸いボタンの部分をコインなどを使って回すとロックが緩んで棒の高さが調整できるので、底と接地面との間に隙間があるものでも使えるところが特徴です」(池田さん)
大きい棚は「ビヨンタ」で固定し、その上に置く家電などは「リンクストッパー」で固定しておけば、さらに安心! 1パック4つ入り。耐荷重は1つで20kg。
「汎用性が高いのもこの商品の特徴です。デスクの上のパソコン本体などにも使えますし、カラーボックスなどの小さめの家具ならその上面と壁とを接着して固定することもできます。また、ボタンを回し切ると外すことができるので、家電をどかして掃除することもできます」(池田さん)
商品詳細
リンクストッパーL型
■おすすめその4/冷蔵庫本体の転倒防止と扉の開放をセットで防ぐ【冷蔵庫ヤモリセット】
冷蔵庫の転倒防止グッズ【冷蔵庫ヤモリストッパー】と、揺れによる扉の開放を防ぐ【ロックヤモリ】とがセットになった商品。2つセットで使うことで、防災力がさらにアップ!
【冷蔵庫ヤモリストッパー】は冷蔵庫と床の間に差し込むことで、転倒によるリスクを減らす商品。そして【ロックヤモリ】は、冷蔵庫の天板と扉上部に設置するグッズ。震度5以上を感知すると自動的にロックがかかり、冷蔵庫の扉が開かなくなる仕掛け。
「冷蔵庫の中身が地震の衝撃で飛び出て散らばることを防ぐだけでなく、扉が開けっ放しになって冷気が逃げることも防げます。地震後に停電になってもしばらくは冷気が保てるのも安心要素に。レバーを下げるとすぐに開けられるので、閉まりっ放しになることもありません」(池田さん)
片開き用、観音開き用と冷蔵庫のタイプによって数種あるので、ご家庭の冷蔵庫に合わせて選べます。
商品詳細
冷蔵庫ヤモリセット
■おすすめその5/【三角ツッパリヤグラ】
ツッパリ棒タイプの転倒防止用グッズ。3本足で三角柱のような構造になっていることが特徴です。
「ネジ止めや穴開け工事が不要なので、賃貸利用者には人気のツッパリ棒タイプの転倒防止グッズですが、市販されているものは2本足のものがほとんど。これだと長辺の方向の揺れには耐えられても短辺方向には耐えられないという弱点があります。それを解消したのがこの商品。実際の地震の揺れの方向は予測できませんが、三角柱の“面”で支えるのでどの方向の揺れにも強いのが利点です」(池田さん)
ベルトで高さを調整できるので、さまざまな家具に対応可。サイズも高さが選べます。
「この商品は、天井と家具との間をツッパリ棒で支えるので、高さがある家具を固定するのに向いています。背の高い観音開きの洋服たんすや大型クローゼットなど、重くて大きな家具におすすめです。大きな家具は転倒することで出口をふさいで逃げられなくなることがあるので、避難経路の確保にも役立つ商品です。また、力が分散するので天井のボードが割れてしまうことも防ぎます」(池田さん)
商品詳細
三角ツッパリヤグラ
100円ショップのグッズとの差は? 実際の地震と同じ震度、揺れ方の下で試験をした信頼できる商品
(株)リンテック21 本社営業部 池田造さん
専門メーカーの防災グッズが信頼できる最大の要素は、地震と同じ揺れを加えてテストする「加振試験」を通過した商品であるということ。安価なグッズは、どのくらいの震度まで耐えられるのかを実証試験していないものも多く、実際の地震の際に本当に頼れるのか、見極めがつきません。
「専門メーカーの商品は、地震の揺れを再現してテストする“加振試験”をして、外れたり壊れたりしないかを確認してから販売しています。そこはどこの専門メーカーも自負するところで、しっかり試験をクリアしているからこその安心感が大きいと思います」(池田さん)
しかも、実際にあった地震と同じ震度や揺れを再現できるような、高性能な加振試験ができる公的な試験場で行われているので信頼度もばっちり!
「横揺れ、縦揺れ、直下型など、さまざまな揺れ方がテストできる試験場でテストしています。当メーカーでは、さまざまな方向から複雑な揺れがあったとされる『阪神・淡路大震災』を再現した震度、揺れ方でテストをして、クリアした商品を販売しています」(池田さん)
ちなみに紹介した【ビヨンタ】は、大東建託の住宅で実際に使われている壁紙を使って震度を加える試験を行い、震度6強まで耐えられることが実証されています。
自室と同じ壁紙でテストされた商品なら、ますます安心!
粘着テープで固定する転倒防止グッズは、一般ユーザー向けの商品だけでなくBtoB(企業間取引)の製品、企業向け製品も数多く開発しているそう。オフィスのキャビネットや複合機、棚などの耐震グッズ、転倒防止グッズも!
「工場の生産ラインの設備を固定する商品もあります。企業向けはもっと大きなもの、重量のあるものも対象なので、シチュエーションに限らず、さまざまな耐震グッズを作っています」(池田さん)
企業から信頼される商品なので、住宅向けの商品も安心感が倍増です。
「被害が少なくて済んだおかげで復旧が早かった」。被災者が伝える防災の大切さ
実際にメーカーの商品を使用中に、地震の被害に遭った人からの反響は?
「当社の商品は接着して固定することがコンセプトなので、一般の賃貸住宅のお客さまからは『地震で被害が軽減できただけでなく、退去時の補修の負担が軽くて済みました』という声がほとんどです。また、企業向け、オフィス向けの商品の場合は『復旧が早かった』『生産が止まらなかった』『従業員が守れた』という声が多く届けられています」(池田さん)
防災グッズといえば、いざ災害が起きてから使うものをイメージする人も多いかもしれません。それも大切ですが、起きてからどうしよう、ではなく、住まいの中で事前に準備しておくことで我が身を守ることも大切。
どんな時でも安心・安全な場所でありたい“住まい”の中でできる防災を、この機会に考えてみませんか?
取材・文=ruum編集部