実は大掃除のベストシーズン!湿気を利用した“梅雨ドキ”のお掃除術
おそうじ・収納アドバイザーとして活躍する大津たまみさんに、すぐに実践したくなる掃除テクニックなど生活に役立つアイデアを教えてもらう「お掃除連載」。
長雨でジメジメとした日が続き、カビも生えやすくなる梅雨の時期。お掃除する気もなくなってしまいそうな季節ですが、「そんな梅雨こそ、大掃除をする最適なシーズンなんです」と大津さん。
梅雨の時期は、湿気のお陰でほこりが立ちにくく、水道水も冷たくないので、掃除がしやすいというメリットがあります。ほこりがたまりやすい窓のサッシや雨戸などの大掃除をしておけば、夏に増えるダニ対策もバッチリ!年末の大掃除もラクになります。今回は、そんな梅雨の時期にやっておきたい大掃除のこつを教えてもらいました。
梅雨といえば、部屋に湿気がこもり、カビが生えやすくなる季節。そして、大掃除といえば、年末のスキッとした冬晴れの日に窓を開け放して部屋をきれいにする…というのが従来のイメージ。両者のイメージはかけ離れているように思えるが…?
「梅雨の時期は、湿気がこもるからこそ大掃除に最適なんですよ」と、大津さん。
湿気があると、ほこりがその水分を吸い込んで地面に落ちやすくなり、さらに静電気も起こりにくいので、空気中にほこりが舞わずに汚れを一気に取り除くことができるとのこと。
夏が近づき、暖かくなってくる季節であることも大掃除に有利に。
「水がぬるんでくるので、冷たい水に耐えながら拭き掃除をする冬よりも、断然作業がしやすいですよね!しかも、窓を開けても寒くないので、屋外での作業の掃除がはかどります」(大津さん)
適度な湿気のおかげで、ほこりが舞わず、さらに外の気温も気にせずに掃除ができるこの時期にうってつけなのは、窓の掃除!
「実は、プロが一番大仕事を覚悟するのが、乾燥した晴れの日の窓掃除なのです」と大津さんが語るほど、乾いて舞うほこりを完全に取り除くのはプロでも至難のワザ。
「その点、湿気がある梅雨の時期なら、サッシの隙間に挟まったほこりや、雨戸に詰まったほこりも泥状になって固まっているので、それを取り除くだけでしっかりきれいになりますよ」(大津さん)
サッシの隙間の掃除方法は、まずはほこりを掃除機で吸い取り、その後ペットボトルに水を入れてサッシに水を流します。細かい箇所は歯ブラシを使用してこすりながら汚れを落とし、水拭きをした後に、から拭きを行っておきましょう。
また、梅雨の時期の窓のほこりには、春に舞った花粉や黄砂も含まれているのだそう。
「湿気を含んだほこりはカビの最大の原因です。この時期にしっかりほこりを取り除けば、カビ予防にもなるのです」(大津さん)
「窓掃除のついでに、同時にきれいにすべき場所があります」と、大津さん。
「それは、カーテンレールの上! 気付かぬうちにたくさんのほこりが積もっていて、これがカーテンのカビの原因になります」(大津さん)
ここで活躍するのが、ほこり取り用の静電気モップ!
「市販の静電気モップを使って、ほこりを上から下に向けてはたいて落としたら、掃除機をかけて落としたほこりをしっかり吸い取りましょう」(大津さん)
このモップを使った掃除方法は、壁や天井、部屋の隅、照明器具や巾木(はばき)などのほこり取りにも応用可能。
「壁や天井などの面積の広い場所なら、柄が伸びるタイプの大ぶりのモップを使うといいでしょう。細かい場所や隙間にはハンディーモップが便利。照明器具などの立体的で細かい箇所には、伸びるタイプの毛ばたきを使うこともおすすめです。場所によってほこりを落とす道具を使い分ければ、より効率的にお掃除ができますよ!」(大津さん)
「こまめに掃除機をかけても、すぐにたまってしまう床のほこりを取るのも、湿気のある梅雨ドキが最適です」と大津さん。
「部屋のほこりには、花粉や黄砂だけでなく、繊維や紙のクズ、皮脂、ダニや砂ぼこりなど、たくさんのものが含まれています。これらが空中に舞い散って、ソファやカーペットに付着することでカビやダニの温床に」(大津さん)
掃除機をかける時やソファなど大きな家具を動かす時にもほこりは立ってしまうもの。
「静電気が起こりにくいこの時期なら、カーペットの上はもちろん、ソファなどの家具をどかして掃除機をかける際も、ほこりが舞い散りにくいですよね。この機会に、部屋の隅々まで掃除機をかけて、一気にほこりを吸い取ってしまいましょう。そして、梅雨時期の床の掃除は水拭き掃除がおすすめ。水で濡らした布で拭き掃除を行い、乾いた布で拭けばきれいに!」(大津さん)
梅雨の時期に掃除すべき場所として、大津さんが挙げるのは「お風呂場」。カビが生えやすい時期なのになぜ?
「カビが生えやすいからこそ、しっかりカビ取り剤をかけて対策をすることが大事です。カビは一度生えてしまうと、なかなか元通りの真っ白に戻すことはとても難しいので、その前に予防をすることがとても大切です」と、大津さん。
カビの発生条件は、20〜30℃の気温に70%以上の湿度。そしてカビの栄養源となるのはほこりや汚れ、髪の毛。こびりついたせっけんやシャンプーもカビの原因に。
「大掃除にも最適な時期ですが、まずはカビの予防策もしっかりと行いましょう。といっても、することは簡単!お風呂上がりに冷水のシャワーで浴室内を漫遍なく流すだけです。シャンプーやせっけんの泡を洗い流すだけでなく、浴室内の気温と湿度が下がるので、カビが繁殖しにくくなるんですよ。柄の長いスクレーパーで天井の水滴を落とすほか、市販の防カビ用くん煙剤などを使うのがおすすめです!」(大津さん)
さて、本題の生えてしまったカビを取り除く大掃除術も教えて!
「カビの除去法は、“湿布法”を用いて、カビ取り剤(酵素系漂白剤)をしっかりカビの根まで染み渡らせることです。“湿布法”は、キッチンペーパーにカビ取り剤を含ませてからカビの上にしばらく置きましょう。湿気のあるこの時期は、窓を開けてお風呂掃除をしていても薬剤が乾きにくく浸透しやすいので、より“湿布法”の効果が上がります。カビの上に長く留まりやすいジェル状の除菌剤もおすすめ!」(大津さん)
梅雨時期は大掃除をする格好のチャンス。お風呂のカビ予防や大掃除を行っておくほか、窓のサッシ、雨戸、カーテンレールの上など普段なかなか手の届かない場所まで今のうちに掃除をしてスッキリきれいに、年末の大掃除をラクにしましょう。
取材・文=本嶋るりこ イラスト=ヨシカワミノリ
大津たまみ
1970年生まれ、愛知県出身。一般社団法人日本清掃収納協会会長。株式会社アクションパワー取締役会長。一般社団法人生前整理普及協会代表理事。清掃収納マイスター1級認定講師。「お掃除お片づけ」のプロとして30年以上のキャリアをもつ清掃業界のカリスマ的存在。年間200本以上の講演のほか、テレビ・雑誌・ラジオなどで片づけや掃除法を伝授する