これ一つで手早くきれいに! キッチンペーパーを活用した簡単掃除術
おそうじ・収納アドバイザーとして活躍する大津たまみさんに、すぐ実践したくなる掃除テクニックなど生活に役立つアイデアを教えてもらう「お掃除連載」。
今回は、どこのキッチンにも常備されているキッチンペーパーを使った、簡単お掃除法についてです。「本来はお料理で使うグッズですが、これをお掃除に転用しても衛生的かつ使い勝手がいいのでおすすめです!」と、大津さん。
ここではキッチンペーパーを上手に使ったお掃除の仕方を5つご紹介します。忙しい時でもパッと試せる、簡単&時短のキッチンペーパー掃除法。ぜひ実践してみてください。
「キッチンペーパーには、紙の物と不織布の物があります。中でも、丈夫な不織布のキッチンペーパーは拭き掃除に最適です。毎日のお掃除タイムはもちろん、気付いた時にサッとほこりを拭き取ることでピカピカをキープできます」(大津さん)
窓掃除の仕上げ拭きでは、雑巾などを使うと透明なガラスに毛羽が残り、ピカピカの仕上がりになりませんが、キッチンペーパーならきれいに拭き取れるので透明感ある仕上がりになります。そのペーパーをそのまま砂ぼこりがたまったサッシや、手の脂汚れの付いた鍵の拭き掃除に使って、汚れたらごみ箱へ。気軽にきれいに窓掃除が完了します。またキッチンでは、洗った食器の水を拭う布巾としても活躍します。
「布巾として使った後は、水を含ませて絞って台布巾に転用できます。テーブルやキッチン周りを拭いたら、最後に雑巾代わりに汚れの多い床やコンロ周りなどを拭いて、こちらもごみ箱へポイ! キッチンの隅々まで、1枚のキッチンペーパーできれいにできます」(大津さん)
最近では、洗って何回も使うことができる不織布のキッチンペーパーも販売されているので、雑巾の代わりに床掃除などに活用すれば衛生的かつお得にお掃除ができます。
キッチンペーパーを使ったお掃除に最適な場所はトイレです。使ったら捨てられるキッチンペーパーは、菌がはびこるトイレの掃除に最適です。
「トイレ掃除にはトイレットペーパーを使う人が多いかもしれませんが、トイレットペーパーは水に溶けるので、その紙が便器などにこびり付いてしまうためトイレ掃除には向きません。ここで便利なのがキッチンペーパー。不織布のキッチンペーパーなら丈夫なので、溶けてこびり付くことなくお掃除ができます」(大津さん)
キッチンペーパーを使ったトイレ掃除の手順は?
「使うキッチンペーパーは2枚。まず1枚目のキッチンペーパーに洗剤を付けて、汚れをこすり落とします。使い終わった1枚目のペーパーは捨てて、2枚目で水拭きしましょう。洗剤を拭き取ったら、そのペーパーもまたごみ箱に捨てればお掃除完了。汚れたキッチンペーパーは捨ててしまえばいいので、衛生的にトイレ掃除ができます」(大津さん)
キッチンの油汚れやお風呂の黒カビなど、しつこい汚れを短い時間で落とすのにもキッチンペーパーは大活躍です。洗剤をしっかり汚れに浸透させて落としやすくする、キッチンペーパーを使った“湿布法”は時短のお掃除法の大定番です。
“湿布法”で使うのは、洗剤がたくさん染み込む厚手の不織布のキッチンペーパー。まずは、油汚れがたまりやすいガスコンロのバーナーリングをきれいにする方法を大津さんが伝授。
「“湿布法”には、より洗剤を染み込ませるためキッチンペーパーを二重にして使います。そのために、まずキッチンペーパーをバーナーリングの倍の大きさでカットし、それを半分に折って二重にします。それをさらに半分に折ってから、バーナーリング部分に合わせて切り込みを入れてください。これで真ん中にバーナーリングに沿った穴が開きます。
ファスナー付きのビニールの保存袋に、台所用の中性洗剤を水かぬるま湯で薄めた液を入れたら、そこに先ほど切ったキッチンペーパーを浸します。十分に洗剤が染み込んだら、袋に入ったままの状態でペーパーを上部にずらして洗剤液から出し、ビニールの中で液が垂れないくらいまで絞ります。
袋から取り出したキッチンペーパーの上に、バーナーリングを置いて、切り込みでできたひだを汚れに沿わせてパックします。溝にこびり付いた汚れは、竹串やつまようじなどでペーパーを押し込んで、しっかり洗剤液と汚れを密着させましょう。汚れがひどい場合は、さらにその上からラップをかぶせると、より効果的です。
しばらく置いてから湿布していたペーパーを外して、そのペーパーで汚れを拭き取ります。最後に別のキッチンペーパーで水拭きしたらフィニッシュ!」
不織布ではなく、紙のキッチンペーパーを使った方が、掃除しやすく汚れも落ちやすい場合もあります。
紙のキッチンペーパーは、柔らかくて丈夫な上、はさみで切り取ることができるので加工が簡単。「“湿布法”をする時、キッチンペーパーなら汚れの範囲や状態に合わせて加工できるので、さまざまな箇所の汚れに対応できるんです」(大津さん)
大津さんは、紙のキッチンペーパーを割り箸に輪ゴムで巻き付けたお掃除グッズを自作しているそう。
「このキッチンペーパーを巻いた棒は、エアコンの吹き出し口のカビ取りに使っています。消毒用のエタノールを吹き付けてから、吹き出し口のカビを拭き取ります。その後、仕上げの拭き取りは不織布のキッチンペーパーで!」
お風呂のゴムパッキンなどに染み付いた黒いカビや洗面台の水あか取りには、紙のキッチンペーパーを使った“湿布法”がおすすめです。
「紙のキッチンペーパーを細長く切って、こよりのようにねじってからカビ取り剤を染み込ませてください。それを汚れの形状に合わせて貼り付けてしばらく置きます。カビには根が生えているので、放っておくとまた同じ所にカビが生えてくるもの。このように時間をかけて染み込ませることで、再発生を防ぐことができます」(大津さん)
手軽で便利なキッチンペーパーは、キッチンだけでなく、毎日の掃除でも大活躍してくれる優秀アイテムです。日々の習慣に取り入れて、汚れをためずにいつでも気持ちのいい空間にしておきましょう。
取材・文=本嶋るりこ イラスト=ヨシカワミノリ
大津たまみ
1970年生まれ、愛知県出身。一般社団法人日本清掃収納協会会長。株式会社アクションパワー取締役会長。一般社団法人生前整理普及協会代表理事。清掃収納マイスター1級認定講師。「お掃除お片づけ」のプロとして30年以上のキャリアをもつ清掃業界のカリスマ的存在。年間200本以上の講演のほか、テレビ・雑誌・ラジオなどで片づけや掃除法を伝授する