実は寝ている時が一番危険!枕元に置いておきたい必要最低限の必需品とは?
台風や高波、河川の氾濫や土砂崩れなど、ある程度予測がつく災害もある一方、地震は、いつ、どんな時に起こるのか分からない災害です。1995年の阪神・淡路大震災のような真冬の早朝や、夜から深夜にかけて発生した2016年の熊本地震など、寝ている人が多いタイミングでの地震は、とっさの対応がしにくいこともあり、甚大な人的被害がもたらされました。
そんな就寝時に発生する地震災害から身を守るために、寝室に置いておきたい必要最低限の必需品について、一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会 代表理事 長柴美恵さんにアドバイスしていただきました。
深い睡眠時に大きな揺れで目が覚めたら…。そんな状況を想像して「迅速に避難行動に移ることができる」と自信を持って言える人は少ないでしょう。
「地震の規模が大きければ、停電によって街灯も消え、真っ暗な中、さまざまなものが散乱した部屋の中を裸足で歩くのも危険ですし、懐中電灯など今すぐ必要なものを探さなければならないのです。そんな時、家具などが倒れてこない枕元に防災グッズをまとめたリュックを置いておいたり、大きな横揺れが起きても行方不明にならないようにベッドの足にくくりつけておけば、とっさの時にもすぐに行動できるでしょう。日頃から『防災リュックは寝室にある』と意識していれば、もし、避難が必要な場合にも、すぐに行動に移ることができます」(長柴さん)
基本の防災リュックをはじめ、ランタンやヘッドランプといった夜間に大活躍するアイテムなど、寝室に用意しておきたい防災グッズ7点をご紹介します。
防災リュック
ホイッスル、懐中電灯、水、食糧、軍手、薬、ティッシュペーパー、アルコールウェットティッシュ、ビニール袋、ラジオ、簡易トイレ、テーピングテープ、メモとペン、爪切り、マスク、スマートフォン用モバイルバッテリーといった、災害時に必須となるアイテムをまとめたリュックを用意しておきましょう。
「常用薬以外は、100円ショップなどでもリーズナブルにそろえることができます。水、食糧、簡易トイレは自分が背負える重さの日数分を用意しておくのがおすすめです」(長柴さん)
ヘルメット
かさばるために敬遠されがちですが、頭を守るために必要なアイテムです。
「最近は折りたたみ式のものが多く発売されるなど、常備しやすくなっていますので準備しておきましょう」(長柴さん)
スマートフォン
現代人には必須の情報端末。たとえ最寄りの基地局が被害に遭っても、移動基地局車が迅速に配備されるので、離れて暮らす家族とメールなどで連絡を取るためにも必ず持ち出しましょう。
「上に物が落ちてきて、画面が割れて使えなくなったりなどする場合も想定できますので、事前に登録されている連絡先をメモして、防災リュックの中に濡れないように入れておくことも大切ですよ」(長柴さん)
履きつぶしたスニーカーまたは厚底スリッパ
深夜の地震で恐ろしいのは、窓ガラスなどが割れたことでできるガラス片で、ベッドから身動きが取れなくなること。足の裏を守るためにも、履きつぶしたスニーカーは捨てないできれいに洗ったら防災リュックと共に保管しておきましょう。
「脱げにくい安全スリッパは、底が厚く安全な上に、暗い中でもすぐに履けるので便利です。階段を降りたり、外を走る場合でも脱げないようにかかとを留めることができるサイズ調節可能なベルトが付いているのでおすすめです」(長柴さん)
多機能ラジオ
ソーラー電池や手回しで充電できたり、懐中電灯やラジオ、スマートフォンのバッテリーとしての機能も持ち合わせている多機能ラジオが数多く販売されています。
「一台あると、とても便利な商品です。蓄光テープを貼っておくと、暗闇の中でもすぐに見つけることができるのでおすすめです」(長柴さん)
ソーラーランタン
昼間の太陽光で充電が可能なソーラーランタンは、懐中電灯よりも広い範囲を照らすためのアイテム。最近はUSB充電式や折りたたみなど、多機能なものが人気。
「たとえばトイレに行く時や、リビングに置いておくなど、広い範囲を照らす明かりとして使えるのがランタンです。底の部分が懐中電灯になっているものなど、さまざまな種類がありますが、どれを買えば良いか悩んだ時は、必要最低限の機能のものをおすすめします。いざという時使えないということにならないよう、日頃から充電のチェックをしておきましょう。こちらにも暗闇で目印になるよう、蓄光テープを貼っておくと便利です」(長柴さん)
ヘッドランプ
懐中電灯を持っての暗闇の中での移動は、さまざまなものが散乱するであろう地震発生時には危険を伴う可能性があります。
「特に小さなお子さんを連れて避難する場合は、両手を自由に使えるほうがいいです。しっかり抱っこしたり、お年寄りは手を引いてあげなければいけない場合もあるので、ヘッドランプをおすすめします」(長柴さん)
季節に合わせて中身を変えることも意識しよう!
「暑い時期の災害では停電のためにクーラーが、冬場も暖房が使えなくなる可能性があるため、冷感シートやアルミブランケットなど、暑さ・寒さ対策グッズも備えておきましょう」(長柴さん)
無理なく背負える重さにすること!
「防災リュックの中身が重すぎて、すばやく避難できない、なんてことになるのは本末転倒。心配でいろいろ入れたくなるところですが、長時間歩ける重さに留めましょう」(長柴さん)
ベッド側に倒れてくるものはないか、横から滑ってくるものはないか
「寝ている時の安全をしっかり確保するために、寝室の家具やインテリアは最低限に。押し入れやクローゼットの中身も揺れの影響で飛び出してくる可能性もあるので、ストッパーなどで押さえておくことをおすすめします」(長柴さん)
カーテンだけでも閉めて寝る
「地震の際に窓ガラスが割れた場合でも、飛散を防いでくれることもあります。適度な重さのある厚手のカーテンがおすすめです」(長柴さん)
羽織るものなどを置いておく
「特に女性の方は、パジャマだけなど薄着での避難は避けたいところです。就寝時はブラトップを着用したり、夏場でも羽織れるカーディガンなどを用意しておきましょう」(長柴さん)
就寝中という最も無防備な状態から、少しでも危険を回避するために、日頃からの備えと心構えが重要。いつ、どんな時に災害が起こっても慌てることなく身を守れるよう、万全の準備を心がけておきましょう。
取材・文=中村美香
一般社団法人 防災備蓄収納プランナー協会
代表理事 長柴美恵
防災備蓄収納プランナー
職場備蓄管理者