物が多くても魔法のようにスッキリ見え!狭い部屋を広く見せるマル秘テク
引越しのシーズン。内見では広く見えていた部屋も、いざ家具を並べると一気に狭く感じる…という経験ありませんか? 一方、長く暮らした部屋でも、いつの間にか物が増えてごちゃごちゃ。圧迫感で居心地が悪い部屋になっている人も多いかも。だからといって必要な家具を捨てるわけにもいかず…。
収納力はそのままに部屋を広く見せる魔法はないものか? そんなお悩みに、インテリア専門会社Praemioのインテリアコーディネーター、大塚奈々さんが答えてくれました。さっそく実践して、スッキリ快適な部屋で暮らしましょう!
部屋が狭く見える最大の理由は、部屋に置いてあるモノの量。モノが目につくところに雑然と置いてあるだけで、スッキリ感は激減してしまいます。
まずは、置きっぱなしのモノたちやコードやケーブルの配線を整理するところから始めます。いらないモノは思い切って捨てて、生活感のある日用品は収納家具を使って見えないように隠しましょう。
「こまごましたモノの整理は、扉付きのリビングボードを置くと便利。コードやケーブル類は背面に配線スペースのあるテレビボードに変えたり、配線がしまえるケーブルボードを活用して、見えないように隠すだけで見え方がガラッと変わります。また、リモコンなどしまい込んでしまうと不便なものは、すぐに出し入れができる蓋付きのケースをテーブルの横に置いて、使ったらすぐにしまう習慣付けをするといいですよ」(大塚さん)
収納を活用して生活感をなくせばスッキリ見え!(Praemioコーディネート事例)
インテリアショップでは素敵に見えたのに、いざ部屋に置いてみるとなんだか窮屈…という経験がある人も多いのでは。部屋のサイズに合った家具を置かないと圧迫感があるだけでなく、動線も確保できず、生活しづらい部屋になってしまいます。
家具を買う前に、部屋の各所のサイズをきっちり図ってから、限られたスペースにスッキリ収まるよう、本当に必要な家具を、サイズをしっかり確認してから選ぶのが重要です。
「例えば家具が大きすぎて動線が確保できないなら、ダイニングテーブルを4人用から2人用にしたり、ソファを小さめのモノにしたりするなど本当にそのサイズの家具が必要かどうか冷静に考え、ライフスタイルに合った家具を選ぶことが大事。家具を置くのはお部屋の面積の約6割くらいまでのスペースにして、余白を作るとスッキリ感がかなり違います。また、テレビの両脇に余裕ができる幅のテレビボードを選ぶ、ダイニングテーブルの脚幅に収まるチェアを選ぶなど、すでに持っているアイテムとのバランスも考えて家具を揃えましょう」(大塚さん)
家具の形やデザインは統一感のあるもので揃えるのも、部屋をスッキリ見せるコツ。
「柔らかく温かみのある空間にしたいなら木やファブリックなど柔らかな素材や曲線的な家具、モダンでスタイリッシュな空間にしたいならガラスや金属など硬質な素材や直線的なデザインの家具にするなど、自分の理想のイメージに沿って、お部屋全体を統一感のあるデザインで揃えましょう。さらにグッとお部屋がしまって見えますよ」(大塚さん)
部屋の建具とインテリアの素材や色味を統一することでも、ビジュアルのごちゃつき感を減らしてスッキリと広く見せることができます。建具がダークウッド調なら家具もダークウッド調にする。ゴールドが入ったデザインの照明ならほかの家具の金属部分もシルバーではなくゴールドにするなど、部屋全体でまとまり感が出る素材や色を選びましょう。
簡単にできるインテリアの色選びのコツは、部屋のベースとなる色「ベースカラー」から、部屋の印象を決める色「アソートカラー」、ポイントになる色「アクセントカラー」を決めて、それに沿って家具や小物などを選ぶようにすることです。ベースとなる色とは、壁、カーテン、ラグなど、部屋の基本となる色のこと。部屋の面積の7割ほどを想定しましょう。そして、部屋の印象を決める色とは、ダイニングチェアやソファ、ベッドなど、部屋の中で目立つ大きめの家具の色、アソートカラーを選び、部屋の面積の2.5割くらいにするとちょうどいいバランスになります。これらベースの色を決めた後は、アクセントとして、クッションや置物など小物の色使いを決めましょう。これは0.5割くらいにすると理想的なバランスに。
「一例として下の画像のお部屋なら、カーテンや壁の白がベースカラー。部屋の印象を決めるアソートカラーがソファやダイニングチェアのダークグレー。そこへアクセントカラーとしてネイビーブルーや黒などのクッションや小物を配置すれば、それだけでオシャレな部屋に。3色を決めておくだけで、簡単に統一感のある配色のお部屋にすることができますよ」(大塚さん)
新しい部屋の床の色とすでに持っている家具の色が合わない場合も。とはいえ、家具を捨てるのももったいない、という場合は?
「例えば、床が真っ白なのに持っている家具はダークブラウンで家具だけが浮いて見えるという場合は、パキッとした色のコントラストを和らげるような中間色のラグやカーテンを選ぶのがコツです。選ぶ色は、どんなインテリアイメージにするかによって変わってくるので、全体のバランスを考えて色を選ぶようにしましょう」(大塚さん)
白、グレー、ネイビーの3色コーディネートでグッとおしゃれに(Praemioコーディネート事例)
部屋を広く見せるには、家具の配置の仕方も大切です。背の高い家具を部屋の真ん中に置くと、視界が分断されて狭く見える原因に。かといって背の低い家具だけで揃えても、メリハリのないごちゃつき感のある部屋になってしまいます。
「お部屋を広く見せたいなら、ソファなどの大きめの家具は背の低いものを選ぶのがコツ。ハイバックのソファにするなら、背面が壁に付くようにレイアウトして視界を遮らない配置にしましょう。また、背の低い家具が多い時は、高さのあるスタンド照明や植物などを一つ取り入れると、メリハリが付き、スッキリした部屋に見えます」(大塚さん)
天井照明だけだとまんべんなく部屋を照らすので陰影が生まれず、ごちゃついて見える原因に。
「テーブルランプやスタンドライト、テレビや植物の裏に置く間接照明など、一室の中にいろいろな照明を仕込んで、部屋を立体的に見せるのが『一室多灯』。一室多灯にすることで奥行きが感じられて、お部屋が広くみえるようになります。予算と相談して、いくつか揃えてみては。気軽に買えるのはテーブルランプ。テレビボードや棚などに小さめの照明を置くだけでも、お部屋のオシャレ度をワンランクアップできますよ」(大塚さん)
間接照明を効果的に使うと◎(Praemioコーディネート事例)
植物もインテリアの大事な要素。どんなテイストの部屋でもグリーンはマッチするので、無機質な部屋をイキイキさせるのには重要なアイテムです。ただし、グリーンの鉢も雑然と置くだけではごちゃつきの原因になって部屋を狭く見せることに。
「西海岸風のナチュラルでさわやかな部屋にしたいなら南国のオーガスタに麻素材の鉢カバー。ビンテージ系のカッコいい部屋が理想ならアフリカ原産のドラセナに古木風の鉢カバーなど、理想の部屋のテイストに合わせて樹種や鉢カバーを選びましょう。統一感が増して、お部屋のスッキリ度がさらにアップしますよ」(大塚さん)
配置の仕方も大事。部屋を広く見せるコツは?
「大きな鉢は、部屋に入った時に目に入る対角線上の奥に置くとフォーカルポイントになり、スッキリ見えます。また、小さな鉢は、棚の上など余白を使ってディスプレイするといいでしょう。お部屋に合っていない大きな植物がたくさんあるとジャングルのようになってしまうので、お部屋のサイズ感に合うものを大小組み合わせて数点に絞りましょう」(大塚さん)
スッキリ広々した部屋に見せるプロのマル秘テクで、過ごしやすい空間を作りましょう。
取材・文=本嶋るりこ、杉原由花
教えてくれたのは
大塚奈々
株式会社Praemioのインテリアコーディネーター。建築系の大学を卒業後、商空間のデザインをする会社で大型ショッピングモールなどの空間デザインを担当。エンドユーザーとの距離が近い仕事をしようと住空間のデザインを志望し、株式会社Praemioに入社しインテリアコーディネーターに転身。住空間のみならず民泊やオフィスなど幅広い案件を手掛けている。