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【週末エンタメ】新時代の“プリンス・オブ・ハリウッド”! はかなげな雰囲気で人々を魅了するスター俳優、ティモシー・シャラメの軌跡

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“プリンス”と呼ぶにふさわしい麗しいルックスと高貴な雰囲気を持つ若手きってのスター俳優、ティモシー・シャラメ。2023年は『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)の続編『Dune: Part Two(原題)』や、『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)の前日譚『Wonka(原題)』といった主演作が公開を控えており、これまで以上に熱い視線が注がれている。

2023年2月17日(金)に公開された『ボーンズ アンド オール』(2022年)は、彼のブレークのきっかけとなった『君の名前で僕を呼んで』(2017年)のルカ・グァダニーノ監督との再タッグ作。この節目のタイミングにシャラメの歩みを振り返っていきたい。

キャリア初期にオスカー選出! 爆発的にブレークした『君の名前で僕を呼んで』

『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督とは5年ぶりのタッグとなった
(C) 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

母は元ダンサー、叔父は映画監督、姉も女優という芸能一家に生まれ、幼い頃からCMや演劇に出演すると、2008年ごろから短編映画やTVシリーズなど本格的に俳優として活動していくシャラメ。2014年公開の『インターステラー』では主人公の少年時代を演じ、2015年に公開された『シークレット・チルドレン 禁じられた力』では長編映画初主演を果たすなど、順調なキャリアを築いてきた。

とはいえ、まだまだ無名に近い状態だったシャラメは『君の名前で僕を呼んで』を機に大きく飛躍する。1983年の北イタリアの避暑地を舞台にした本作は、両親と共に訪れた別荘でバカンスを過ごす17歳の少年・エリオと、考古学者の父の助手を務める24歳の青年・オリヴァーとのひと夏の恋模様がみずみずしく描かれるラブストーリー。

シャラメは、自信に満ちたオリヴァーを疎ましく思いつつも、徐々に引かれていくエリオの心の機微を繊細な演技で体現すると、いきなりアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、受賞はならなかったものの瞬く間にその名を世界へと知らしめた。

時代を象徴するアイコンへ! スクリーンの外でも脚光を浴びる存在に

往来のマッチョ的なスターたちとは一線を画す、繊細な雰囲気で現代のアイコンとなった
(C) 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

往年のハリウッドスターとは異なり、どこかはかなげな雰囲気を漂わせるシャラメは、その後もドラッグ問題を抱える少年と父の絆を描いた『ビューティフル・ボーイ』(2018年)や、ハル王子がヘンリー5世に即位し大人へと成長していく様子がつづられる2019年公開の主演作『キング』など、独特のたたずまいを生かした役どころで、役者としてめきめきと成長。

また『レディ・バード』(2017年)、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019年)ではグレタ・ガーウィグ、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021年)ではウェス・アンダーソンと、作家性の強い監督の作品にも名を連ね、配役の大小にこだわらないスタンスでフィルモグラフィーを充実させていった。

さらには映画祭やイベントでの華やかなファッションで目を引いたかと思えば、さまざまな慈善団体に出演料を寄付するなど熱心な社会活動も展開。俳優という枠を超え、いまや時代のアイコンとなるなど、スクリーンの外でも存在感を発揮してきた。

世界的ブレークから5年…グァダニーノ監督との再タッグ作では製作にも初挑戦

脚本開発から作品に携わっており、キャラクターへの深い理解を演技で示している
(C) 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

『君の名前で僕を呼んで』での大ブレークから5年。自身を取り巻く状況が一変したタイミングで再びグァダニーノ監督との仕事に挑んだのが、“人を食べて生きる”若者たちを描いた『ボーンズ アンド オール』だ。

生まれながらに人を食べる衝動を抑えられない18歳の少女・マレンが、自身のルーツを探るため顔も知らない母親を捜す旅に出たところ、同じ境遇の青年・リーと出会い、次第に引かれ合っていくという純愛とホラーを掛け合わせた1作。

シャラメは、マレンと共に生きる居場所を探すリーを演じており、“人食い”に対する葛藤を抱きながらも、そうした本能から逃れられない人間の内面を体現。達観とも取れるリーの絶妙な表情がなんとも印象的だ。

マレン役のテイラー・ラッセルは、本作で第79回ヴェネツィア国際映画祭新人俳優賞を受賞した
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またマレンに向けられる穏やかなまなざしから人食いの渇望が顔を出した際の鬼気迫る表情まで、社会からあぶれた青年の不安やそれでも人を思いやる優しさといった複雑な感情を豊かに浮かび上がらせている。トラブルに巻き込まれながらも、自分たちが生きていく居場所を探す姿は胸を打つことだろう。

キャラクターの機微をすくい取った演技を見せているシャラメだが、それもそのはず。今作ではキャリアで初めて製作にも名を連ねており、脚本開発の段階から作品づくりに参加している。「ルカとの2作目で初めて創造的な取り組みができた」と語っているように、深みのあるキャラクターを作り上げることに、一役も二役も買っているのだ。

ハリウッドの大作で主役を張るまでの存在になっても、原点を忘れず、自らの感性に従った作品選びを怠らないシャラメ。賛否両論を巻き起こすような作品にも果敢に取り組む姿勢と、好奇心を持ち新たな挑戦を続ける彼の今後には、ますます期待が高まるばかりだ。

文=ケヴィン太郎

インフォメーション

『ボーンズ アンド オール』

2023年2月17日(金)より全国ロードショー
作品詳細はこちら

 
 

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